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アイディール通信

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ゆっくり茶番劇大炎上!!やっぱり大事な商標権!

 「ゆっくり茶番劇」というのはご存じでしょうか?もう知っている方も多いとは思いますが、よくニコニコ動画やYoutubeの動画でみられる霊夢と魔理沙による対話形式のものです。私もよくYoutubeをみるので度々目にします。最近ではハリーポッターの解説動画でお世話になりました。

 この「ゆっくり茶番劇」という名称を「ゆっくり茶番劇」とは関係ない第三者によって商標登録されてしまいました。過去にもPPAP、くまクッキングといった名称がその名称を使用している者とは関係のない第三者に商標登録されてしまうことがあり、商標関係の事件が世間の目にうつる形となりました。

 商標登録は原則として早い者勝ちなので、誰が先に使っているとかは関係なく商標の登録ができます。登録されると商標権者以外の人はその登録商標を使用することができなくなります。

 そのため、「ゆっくり茶番劇」という名称を動画配信、動画投稿等に用いた場合、商標権を侵害する可能性が高いです。なお、霊夢と魔理沙を使って動画配信、動画投稿等をすることは商標権侵害とは関係なく、継続することができます。

 商標登録は早い者勝ちという原則からすれば、「ゆっくり茶番劇」の商標登録は日本のルールに則ったものであるという見方はあります。しかし、ルール上OKだとしても、他人のものを横取りするようなことは良いこととはいえません。「ゆっくり茶番劇」の商標登録を行った代理人の某特許事務所は調査が不十分だったとコメントしています。商標登録は調査が最も重要なので調査を怠ることは許されませんが、お客様のヒアリングをしっかりと行い、調査もしっかり行えば、未然に防げる問題だったのではないかとも思われます。某特許事務所は格安の商標サービスを売りにしているため、調査にかけることのできる時間が限られていた可能性もあります。そういう意味でいうと適正な価格の適正なサービスであるという点は仕方のない部分でもあります。もっとも、某特許事務所に対する爆破予告はやりすぎです。また、某特許事務所への嫌がらせや特許庁への抗議電話等も無駄なのでやめましょう。

 一弁理士としてはこのような先取り的な商標事件をきっかけに商標の重要性を知ってもらえるいい機会にもなったと思います。今回のように事件は突然やってきます。こういった事件に自分が巻き込まれないようにするためにも商標登録は必須であることがわかると思います。