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AFURI社が清酒メーカーを提訴 「AFURI」と「雨降」は似ている?

 先日、神奈川県の酒造メーカー吉川醸造社に対して、ラーメンチェーン店のAFURI社が商標権侵害により提訴したとのニュースをみました。AFURI社は、商標「AFURI」について「清酒」を指定商品とした商標登録を2020年4月14日に受けています。したがって、「清酒」やそれに類似する商品について、「AFURI」という文字を使用した場合、AFURI社の商標権を侵害することになります。

 一方、吉川醸造社は、商品ラベルに対して「雨降」及び「AFURI」という文字を付して日本酒の販売を行っています。「AFURI」という文字は、「雨降」のフリガナ的に用いられていると考えられるものの、商品ラベルやインターネットの商品名称に使用されていることから、商標的に使用されているといえます。侵害訴訟において、吉川醸造社の商品ラベルとAFURI社の登録商標が類似していると判断されれば、吉川醸造社による商標権侵害が認められます。

 吉川醸造社は、2023年3月14日に商品ラベルに用いている態様と同じ商標について商標登録出願しています。これに対して、特許庁は、AFURI社の登録商標等を引用して拒絶理由を通知しています。なので、特許庁の審査段階では、吉川醸造社の商品ラベルとAFURI社の登録商標「AFURI」は類似していると判断されたことになります。もっとも、AFURI社が提訴した商標権の侵害訴訟では、特許庁の審査段階よりも更に厳密な類否判断が行われるので、特許庁の審査結果と異なる結果になる可能性もあります。新しい情報が入れば、その都度記事にしようと思います。

 商標に関するトラブルは商品の販売やサービスの提供行う事業者であれば誰しも起こりうるものです。トラブルに巻き込まれないためには、使用を希望する商標が、他社が保有する商標権の権利範囲に含まれるか否かを必ずチェックする必要があります。その上で、希望する商標を登録するのが好ましいです。商標登録は使用を始めた順ではなく、特許庁に商標登録出願を行った順で優劣が決まるので、なるべく早く商標登録出願を行うことをお勧めします。仮に商標登録出願を行わない場合、第三者に勝手に商標権を取得されてしまう可能性があるので注意が必要です。