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ルブタンのレッドソールの商標が拒絶 色彩のみの商標登録は困難?

 クリスチャン・ルブタンといえば、ハイヒール靴の赤色を思い浮かべる人が多いのではないでしょうか。ルブタンは指定商品「女性用ハイヒール靴」に対して赤色の色彩商標の商標登録出願をしていたところ、特許庁で拒絶査定不服審判の審決を受け、審決取消訴訟を提起しました。審決取消訴訟は、登録を拒絶した特許庁の審決の取り消しを求めるものです。この審決取消訴訟の判決が出ており、知財高裁はルブタンの請求を棄却しました。つまり、ルブタンは「女性用ハイヒール靴」に対して赤色の色彩商標を取得することができなかったことになります。

 知財高裁は、東京都、大阪府、及び愛知県在住の女性を対象に行ったネット調査の結果が50%に満たない程度のため「広く認識されるに至っている」と認められないこと、及び、単一の色彩のみからなる商標の登録を認めてしまうことの公益上の不利益があることを理由に商標登録を認めるべきではないと判断しました。

 色彩のみの商標はファミリーマートの3色の組み合わせ、セブンイレブンの3色の組み合わせ、MONO消しゴムの3色の組み合わせ等、現状9件しか登録が認められておらず、商標登録のハードルが非常に高いです。この9件の中でも単色の商標登録は認められた例がありません。ルブタンの件で知財高裁が述べているとおり、単色の色彩商標を認めてしまうと、登録された商品又は役務に対してその色を使用することができなくなってしまうため、非常に強力な権利となってしまいます。単色の色彩商標が認められるためには、特定の商品又は役務について大多数の人が「あの会社の商品又は役務」であると認識できる程度の知名度が最低でも必要であると考えられます。

 もっとも、ルブタンのレッドソールの商標登録ができなかったとしても、女性用ハイヒール靴のソール部分に赤色を使用した場合、不正競争にあたる可能性はあります。なので、レッドソールの商標登録が認められなかったからといって模倣品を販売できるわけではありません。