近年のSNS流行は知的財産の天敵!?
近年のSNSの流行により個人や企業から不特定多数の人に向けた情報発信が容易になりました。今では幅広い年齢層の人がSNSを利用しており、SNSの拡散力を利用した情報発信や情報収集等、ビジネス、プライベートを問わず必要なツールになってきています。
SNSは、その拡散力や発信の容易性から、開発した商品・サービスを公開し、世の中の反応をみるために用いられることがあります。このように、SNS内における見込み顧客の反応をみて商品・サービスの改良や事業計画の修正等を容易に行うことができる点で非常に有効的といえます。
しかし、知的財産権を意識する場合は注意が必要です。特許権、意匠権等の取得を考えている若しくはそれらの制度をよく知らない場合は、商品・サービスをSNSに投稿する前に専門家に相談することが必要です。
特許権や意匠権を取得するにあたっては、法律上の要件として、「新規性」が求められます。ここでいう新規性は、特許出願や意匠登録出願にかかる出願時よりも前に、出願する対象が公開されていないことを要求しています。
つまり、特許出願や意匠登録出願よりも前にSNSで発信してしまうと、特許権や意匠権の取得が不可能になってしまいます。SNSで公開していても、例外的に「新規性」があるものとして扱われる「新規性喪失の例外」という手続があるものの、その手続にも様々な要件がありますのでSNS投稿から1週間前後の時間的猶予しかないと考えた方がよいです。
SNSは拡散力や発信の容易性という点で活用しやすいというメリットがある一方で、知的財産に取り組む前にSNSに投稿したことで特許権や意匠権の取得が困難になるというデメリットも存在します。