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マツモトキヨシの音楽フレーズは商標登録できる?

 商標と言われると何を思い浮かべますか?一般的には文字列やロゴマークを思い浮かべると思いますが、実は音も商標登録の対象になります。音商標とは、メロディー、音声、自然音などからなる商標であって、聴覚で認識されるものと定義されます。

 商標は、同種の商品又はサービスから事業者を区別するためのものです。聴覚で認識できる音であっても、特定の事業者を想起することはありますよね。商標の例としては、ファミリマートの「あなたのコンビニファミリーマート」というフレーズやインテルのCMで用いられているBGM等があります。マツモトキヨシの音楽フレーズについては、商標登録が認められなくて苦戦していたものの、最終的には商標登録されています。

 音商標についても商標登録の要件を充たす必要があります。商標法第3条第1項では、出願商標が同種商品又はサービスから事業者を区別することができる機能を要求しており、音商標全体としてこの要件を充たす必要があります。マツモトキヨシは、人の氏名とも捉えられるところ、商標法審査基準には「ありふれた氏又は名称を単に読み上げたにすぎないと認識させる音商標」は原則的に商標法第3条第1項第4号に該当すると記載されています。そのため、マツモトキヨシは原則的には商標法第3条第1項第4号に該当します。もっとも、著名性を有する商標に関してはこの規定にかかわらず、例外的に商標登録を受けられるケースがあります。マツモトキヨシは全国的な知名度がありますので、商標法第3条第1項第4号は問題となりませんでした。

 他にも、「商品が通常発する音又は役務の提供にあたり通常発する音を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標」の登録は商標法第3条第1項第3号の規定により排除されます。この規定に該当する例としては、商品「炭酸飲料」について「シュワシュワ」という泡のはじける音、役務「焼き肉の提供」について「ジュー」という肉が焼ける音等が挙げられます。

 このように、音商標は文字やロゴマークの商標と同様に、商標登録の要件を充たせば登録を受けることができます。マツモトキヨシに関しては商標登録を受けるにあたって苦戦したと記載しましたが、前述した商標法第3条第1項の規定ではなく、商標法第4条第1第8号の規定がネックとなっていました。この件に関しては別の記事のネタにしようと思います。