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Instagramに商品をアップするのは待って!意匠登録の障害になってしまう可能性があります・・・

 商品の外観デザインは意匠権によって保護することができます。意匠権を取得するためには、商品の図面や説明を願書に記載し、特許庁に意匠登録出願をする必要があります。特許庁の審査で出願意匠が登録要件を充たすと判断されれば、意匠権を取得することができます。

 ここで、意匠の登録要件には、新規性(意匠法第3条第1項)があります。新規性は、意匠登録の出願時において、願書に含まれた意匠が客観的に新しいことを要求しています。つまり、意匠登録出願時において出願意匠がどこにも公開されていない必要があります。意匠登録出願時に出願意匠が何らかの形で公開されていると、新規性の要件を欠くことになり、意匠権の取得はできなくなります。

 特許庁の審査では、主に特許庁で登録されている意匠と出願意匠とを対比して、出願意匠が新規性等の登録要件を充たすかどうかを判断されます。ただし、最近の審査傾向では、Instagram等のSNSもチェックしているようです。そのため、出願人が自分でInstagramに公開した意匠に基づいて、自分の意匠登録出願が拒絶されるといったことが増えています。

 もっとも、意匠の登録要件には新規性が求められるところ、その例外規定も存在します。例外規定は意匠法第4条に規定されており、自身の行為によって新規性を失った意匠は、その意匠が公開されてから1年以内に意匠登録出願を行えば、新規性を認めるというものです。ただし、この例外規定の適用を受けるためには、意匠登録出願の際にその証明書を提出する必要があり、これを怠ると例外規定の適用を受けることができません。

 結局のところ、物品の外観デザインについて権利を取得したい場合は、Instagram等のSNSも含め、公開する前に意匠登録出願を行うことが最も簡単な方法です。なので、製品開発の過程の中で知的財産を意識するのであれば、公開は控え、はやめに弁理士に相談することをお勧めします。