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商標出願の審査結果は審査官によって大幅に変わることがあります!

 特許庁の審査官は、願書に記載された情報に基づいて審査を行います。審査では、出願された商標が一般的な登録適格性 (商標法第3条) を備えているか否かや商標法上規定された不登録事由(商標法第4条)に該当するか否かが判断されます。現状は商標登録出願を行った後、9か月後くらいに審査結果が届きます。

 審査結果が登録査定の場合は、商標権の有効期間に応じた登録料を納付することで、商標登録が完了します。商標登録が完了すると、出願人には商標権が発生します。
 審査結果として拒絶理由が通知された場合は、審査官が主張する拒絶理由に対して反論の機会が与えられます。商標法や商標法審査基準に則って合理的に説明した反論をすれば、審査官の拒絶理由が覆る場合があります。反論をした場合、その反論の結果は約1~2か月できます。反論しても審査官の判断が覆らない場合は、拒絶査定となり、商標登録を受けることができないため、商標権は発生しません。

 審査官は、「審査基準」という審査を公平にかつ迅速に行うための一定の基準に則って審査を行います。しかし、出願を審査する審査官も人間ですので人によって意見が変わってしまうことがあります。もちろん審査基準に則って審査していれば、ある程度バラつきのない審査結果にはなるものの、審査基準に記載されている内容から解釈される内容は審査官によって異なります。つまり、グレーゾーンの判断は、意見がわかれやすいということになります。

 審査は一次審査を行った後の二次審査が行われる場合があります。前述の意見書による反論を行った場合は、その意見書に記載された内容を審査官がみて二次審査を行います。この時、二次審査を行う審査官は一次審査を行った審査官と異なる場合があります。そのため、意見書による反論を行ったとしても審査官の心証を登録査定に導くのは難しいと思われた案件であっても、二次審査を行う審査官によっては登録査定をもらうことができる場合があります。我々弁理士としてもなかなか理解に苦しむ場合があります・・・。自分が経験したわけではないのですが、分割出願をしただけで登録査定になったケースもあるようです。

 分割出願というのは、拒絶理由がある出願のうち、拒絶理由に該当する指定商品(指定役務)を別の出願に分割することです。これにより、元の出願から拒絶理由に該当する指定商品(指定役務)を削除することができるため、元出願の拒絶理由は解消し登録されます。一方、分割した新たな出願については拒絶理由を有するものの、じっくり争うことができます。この際、分割した新たな出願について再審査されるわけですが、意見書を提出することなく、なぜか登録されるケースがあったようです。