商標登録に適した商標の選択は重要です。
商標登録を受けるためには、商標登録出願を特許庁にする必要があります。商標登録出願を行うと、特許庁でその商標が登録できるかどうかの審査がされます。審査は担当する特許庁の審査官が行い、審査結果が出願人に通知されます。この審査に合格すれば、登録料を納付して商標登録を受けることができます。審査結果の通知は、現在(2022年7月8日)の時点では約11か月かかっています。なお、審査結果を早くするためのファストトラック制度や早期審査制度もあるので、事業の進み具合によってはこういった制度を活用するのもありですね。
商標登録を受けるためには、一般的登録要件(商標法3条)と具体的登録要件(商標法4条)を充たす必要があります。一般的登録要件は、商標が自他商品・役務識別力を具備しているかどうかを判断するものです。自他商品・役務識別力は、その商標が商品又は役務に使用された場合に、その商品又は役務の出所を識別できることを要求しています。自他商品・役務識別力は登録査定時を基準として判断されます。
具体的登録要件は、自他商品・役務識別力を具備する商標が、商標法の規定する不登録事由に該当しないことを要求しています。先に登録されている商標との関係にかかる登録要件は具体的登録要件として規定されています。
商標は、同種商品・同種サービスからお客様に区別してもらうための標識です。世の中には同種商品・同種サービスがあふれているので、これらに事業者を識別するための標識がなければお客様は所望する事業者の商品・サービスにたどり着けません。
コンビニでお茶を購入するときのことを考えてください。「伊右衛門」、「おーいお茶」、「綾鷹」等、たくさんありますよね。みなさんはラベルをみて購入するはずです。このラベルがなければ、商品の陳列棚でお客様がお茶を区別することはできません。このように、同じ商品の中からお客様に区別してもらうというのが商標の本質的な機能であり、この機能を発揮させるために商標をつけるのです。商標法上の自他商品・役務識別力というのも、同種商品・同種サービスから区別できることを登録要件として規定していますから、自他商品・役務識別力は商標の本質的な機能であるといえます。そのため、自他商品・役務識別力を発揮する商標は商標登録に適している一方、自他商品・役務識別力を発揮しない商標は商標登録に適していないといえます。
そもそも、商標登録に適さない商標を選択することは、商標の本質的な機能を発揮し得ないので、商標を使用する意味がありません。一方で、商標登録に適した商標を選択することは、商標の本質的な機能を備えているので、その商標を使用する意味があり、商標登録に値するということになります。したがって、商標登録に適した商標を選択することは、結果的に、商品やサービスに使用する意味のある商標を選択したことになります。