違法な映画アップロードの法的リスクと社会的影響
先日、インターネット上に公開された海賊版の映画を視聴者に誘導する「リーチサイト」の運営者が逮捕されたとのニュースをみました。運営者は、映画をアップロードして誰でも視聴できる状態にする行為が違法であることを知らなかったとのことでした。
映画は著作権法で保護されており、著作権者に無断でインターネット上に映画をアップロードする行為は著作権法に違反する行為です。著作権法違反は違法性を知らなかったとしても成立します。
デジタル時代の到来により情報共有やコンテンツ配信が容易になった一方で、著作物の違法な拡散が社会問題化しています。少し前に話題になった漫画村も含め、インターネットは違法に拡散された著作物であふれてしまっています。違法配信者は、違法アップロードされた著作物により莫大な広告収入を得ているため、違法にアップロードされた著作物をみている人が多くいることも事実です。
著作物の違法アップロードが社会問題化した影響
著作物は著作権者の創造活動や制作会社の努力によって生まれるものであり、適法に拡散しユーザーに提供することで、著作権者等は著作物に対する対価を得ることができます。しかし、著作物が違法に拡散されることで、ユーザーは無償で著作物を楽しむことができるため、著作権者等は正当な対価を受けることができず、著作物の創作活動に対する意欲が低下してしまいます。そのため、著作物の違法アップロードがこのまま恒常化してしまうと、日本の漫画や映画等の著作物の質が大幅に低下し、日本の文化の発展を阻害してしまいます。
前述したように、違法アップロードされた著作物を楽しんでいる人が多くいることは事実であり、これらの人が違法アップロードされた著作物に触れることで侵害者は広告収入を獲得しています。いくら法整備をしても違法性を無視してアップロードする人がいる限り著作物の違法な拡散を防止することは不可能です。もっとも、違法サイトにアクセスした人数に応じて広告収入を得ることができる仕組み上、違法サイトにアクセスしなければ、違法アップロードをするメリットがなくなるため、著作物の違法な拡散を防止できると考えられます。
このままでは日本の文化の発展は阻害され、漫画や映画等は生まれなくなります。漫画や映画が好きだからこそ、違法アップロードされた著作物を楽しむのではなく、適法に拡散された著作物に対して正当な対価を支払って楽しむべきだと思います。