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アイディール通信

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「爆盛り!こぼれ寿司」と「こぼれ寿司」は商標的に類似する?

 先日、回転寿司チェーンの「すし銚子丸」は2023年3月27日から提供予定の「爆盛り!こぼれ寿司」を「爆盛り寿司」に変更するとのニュースをみました。「こぼれ寿司」は株式会社ジャンティーズサプライが商標登録を受けており、これを理由に「爆盛り!こぼれ寿司」から「爆盛り寿司」に変更したとのことでした。

 「爆盛り!こぼれ寿司」と「こぼれ寿司」は類似するのか。
 商標の類否は、①外観、②称呼、又は③観念という3つを判断要素としています。
 ①外観とは、商標に接する需要者が視覚を通じて認識する外形をいいます。「爆盛り!こぼれ寿司」と「こぼれ寿司」は、後段のこぼれ寿司部分は同じですが、全体としてみたときは爆盛り!が含まれていることで似ていないと考えられます。
 ②称呼とは、商標に接する需要者が、取引上自然に認識する音をいいます。「爆盛り!こぼれ寿司」は「バクモリコボレズシ」という称呼を生ずるのに対し、「こぼれ寿司」は「コボレズシ」という称呼を生ずるので、似ていないと考えられますね。
 ③観念とは、商標に接する需要者が、取引上自然に想起する意味又は意味合いをいいます。「爆盛り!こぼれ寿司」は爆盛りのこぼれ寿司であるのに対し「こぼれ寿司」は単にこぼれ寿司なので、観念上も似ていないと考えられます。

 このように、商標の類否は、二つの商標を全体的に観察し、①~③を判断要素として行います。ただし、ロゴマークと文字が含まれる商標等のいくつかの要素を含む商標においては、要素ごとに分離し、その分離した要素を商標の要部として類否判断を行うことが認められています。
 今回のケースだと、「爆盛り!こぼれ寿司」という商標のうち、「爆盛り!」と「こぼれ寿司」は分離できると考えられます。「爆盛り!こぼれ寿司」は爆盛りとこぼれ寿司という文字の間にビックリマークが挟まれている点等を鑑みると、爆盛りとこぼれ寿司は必ずしも一体的に考えられるものではないからです。この場合、「爆盛り!こぼれ寿司」のうちの「こぼれ寿司」が要部であると認定され、当該「こぼれ寿司」と株式会社ジャンティーズサプライの登録商標である「こぼれ寿司」が比較されてしまいます。両商標は①~③のいずれも同一であるため、「爆盛り!こぼれ寿司」と「こぼれ寿司」は類似します。そのため、「すし銚子丸」が「爆盛り!こぼれ寿司」を使用してしまうと、株式会社ジャンティーズサプライの商標権を侵害することになってしまうことから、「すし銚子丸」は名称変更を行ったと考えられます。