最近の商標審査の実態と登録可能性を上げるコツ
商標は、商標登録出願を行い、審査に合格すると登録されます。審査の合格には、出願商標の識別力が要求されています。識別力とは、出願した商標が、同種商品・サービスの中で事業者を区別する標識として機能することをいいます。
識別力のない商標の例としては、商品「洗剤」に対して、「ソープ」という商標や「汚れ落とし」という商標等が挙げられます。これらの商標のように、商品との関係で、単にその商品を示す名称や、その商品の特徴を示すに過ぎない名称は、同じ商品群の中で他の商品と区別することができません。
この識別力の有無の判断が特許庁で審査する審査官によって大幅に変わることを最近の商標実務で特に実感します。例えば、「ぷるつや」(商願2022-102817)については、化粧品を指定商品としているところ、商標「ぷるつや」が「潤い、ハリ、弾力のある状態に仕上がる商品」であることを示すに過ぎないものとして、識別力が否定されています。化粧品には、シャンプー等が含まれており、シャンプーに対して商標「ぷるつや」を使用した場合、「ぷるつや」は単にシャンプーの効能を示すものであるということですね。
その一方で、商標「うるツヤ」、商標「ぷるハリ肌」等は、せっけん類、化粧品等の指定商品との関係で登録されています。これらの商標も「ぷるつや」を担当した審査官が審査したのであればおそらく拒絶されていたものと考えられます。
このように、識別力に対する評価が厳しい審査官が一定数存在し、識別力の判断は担当する審査官によって大幅に変わります。
識別力に対する評価が厳しい審査官の対策としては、ロゴマークと文字とを一緒にした商標として出願することです。ロゴマークと一緒に出願することで識別力に対する評価が厳しい審査官に当たってしまったとしても、ロゴマークの識別力が評価されて登録されるケースが多いです。ここ数年は特に識別力が厳しくなっているため、識別力に関する判断基準が緩くなるまではロゴマークと文字とを一緒に出願するのがベストかもしれません。